勇者LV.2

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「うおっ」  草むらからのっそり出てきた、塊の前で急ブレーキ。  巨体を重厚な鎧に包み通行止めしているそれ。小型のモンスターなら轢き逃げできたが、この質量だとそうもいかないな。  妹のかけてくれた強化魔法がまだ効いているから、僕の今のレベルより5くらい上のモンスターでも倒せると思うが。  とりあえず、馬を降りて謝ろうと思います。 「あの、申し訳……ありませんでした!」  下から突き上げるように、鋼鉄のツルハシで鎧の脇腹を狙う。  鎧に風穴は開けたが、体を振り払われた。  呼吸する間もなく、右手の大剣で薙ぎにくる。  直撃すれば少し痛そう。  一歩後退、では風圧に捕まる。一歩半後退して、しゃがむ。足に力を溜めて跳ねる。が、盾で体ごと弾かれた。一点もの、物理攻撃を弾くタイプの魔法の盾か。  一定以下の攻撃はノーダーメージに近いだろう。  不死系モンスターのフルアーマースケルトンナイト亜種。  光沢の無い煤けた全身鎧に、カルシウム丸見せの骸骨面。ワンポイントで、額に荊の冠を装備しているのが痛々しい。  軽く見積もってレベル40、こんなところにひょいひょい現れるモンスターじゃない。やはり街道の保護魔法が弱まっていのか。  ちょっと考え事をしている内に、もう鎧の穴が、塞がりかけている。  自己回復能力もなかなか。ああ、メンドクサイ。
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