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高級そうな赤い鎧一式に赤いマントを羽織っている。
両の腰に差している剣は細工の施された細身のレイピア。他には小さなナイフをベルトに何本か装備しているくらいで、盾も無くは軽装。美しい白馬には、大き目の鞄を乗せている。
立ち姿は気品高く、僕と違い、ほとんど汚れていない。
被っている白い仮面に一滴の血も付いていないのは、どういう事だ。数十体のゾンビ相手に、誰もいない廊下を歩くように、静かに事を終えた彼女は何者なのだろう。
「私は、マルテイシア」
「マルテイシア、さん」
「名前がながいので、マルちゃん、マルシア、アルテイシア、マルア、どれでも結構です。勇者レスタリオス」
「じゃあ、僕もレスで……」
ああ、初見の人は緊張する。
「私はレスさん達に協力していただきたくて勇者村へ伺ったのですが、タイミングが悪くて、皆さん既に旅立たれたと聞いて、後を追いかけたところです」
「どうも」
戦闘より手に汗握るよ。
「他の皆さんは?」
「ちょっと手違いで」
「まさか全滅?」
「いえ、僕、一人だけ全滅……」
恥ずかしい、知らない人に、いきなり恥さらし。もう帰りたい。
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