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「すみません」
僕の小さな声に、一瞬首を傾げたようなマルテイシア。
次の言葉が出るまで五秒はかかってしまったと思う。
「ちょっと待って、いたたた、いただけますか」
仮面越しでも分かる疑問的な顔に、不格好な笑顔を返して作業を始める。
ゾンビ軍団の残した戦利品を見て回る。
召喚士ゾンビはろくなアイテムを残していない。豪華な衣装は、使い物にならないくらい汚れが激しいし、あまり金目の物は持っていない。
魔法のナイフと、現金少量、とりあえず指輪は頂いておこう。
当然だが、戦場に高価な品を持ち込む奴はあまりいない。
戦闘の為に現れるモンスターは稀にレアな武器を持っていたりするが、金品貴重品を持って、現れることは、ほとんどない。
とは言え、この数。小銭とまあまあの武器は確保できた。
戦った時間より、後始末に時間がかかっている。
疲労も作業の方が大きいかもしれない。
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