97人が本棚に入れています
本棚に追加
/228ページ
知っていたとしても、首都が攻撃されているだけなら、頑張ってくれ。で済むのだが、山脈を挟んだこちら側の街や村にも被害が及びつつある。
これは、何とかしなければならない、と勇者出なくとも思うだろう。
マルテイシアの実家も被害にあった。
その報復、と言う訳では無いが、より大きな被害を受ける前に、凶神デアゴズバズドスガドレアズを打倒する。と思ったらしいのだが、一人では心もとないという事で、我がブレイブ村の人間に援護を求めに来たそうだ。
「ブレイブ村の人、出払っているとお伺いしましたが」
読解力の無い僕へ、分かりやすく説明してくれた後、マルテイシアからの質問が飛んできた。完全に聞く態勢でしかなかったので、また変な笑顔を一瞬見せてしまった。
「畑です」
呆気にとられた間が空いた。当然である。村人のほとんどが勇者であるブレイブ村の人間が出払っている理由が畑、と言うのは可笑しな話だ。
「勇者米の収穫時期で」
仮面の下から一瞬殺意が見えた気がしなくもない。
「なるほど……」
「あ、ああ、で、でも、最近勇者の仕事も過多らしくて」
「そうらしいですね。各地に頻繁に、魔王城が現れているとか」
確かに魔王城の出現頻度は増えている。
最初のコメントを投稿しよう!