勇者LV.2

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「あ、あああ、別に、変態、変態じゃないです」  尻もちをを突く彼女は、なんとも可愛らしい。  それから仮面ごしに頭を抱える彼女に声を掛けた。 「火が消えないように様子、見ておいていただけますか?」 「はい、頑張ります」  鎧を着たまま体育座りの彼女を見ると、ゾンビ軍団との戦闘で見せられた華麗で高潔な所作が、嘘のように思える。 「あのぅ、石鹸か何か持っていませんか?」 「あります! あります! ちょっと、お待ちください!」  彼女は、白馬に乗せている大きな荷物を、かき混ぜるようにしばらく漁り、いかにも女子が好みそうな桃色の小さな石鹸を手渡してくれた。 「こんなに良い物、使って……」 「大丈夫です、全部使って頂いても全然大丈夫です」  顔はこちらに向けてくれないのは、パンイチだから仕方ない。  ではお言葉に甘えて使わせて頂く。  素晴らしい泡立ちにもかかわらず、減らない。  装備品は、驚くほど綺麗になった。むしろ、元より発色がイイ感じ。何か魔法でもかかっているのか、この石鹸。元々臭いのきつかった彗星のブーツも甘い香りが漂う。
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