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もう一つの焚火で装備を乾かす。
「これ、どうぞ」
「ありがとう」
マルアさんは、パンイチの僕に予備のマントを貸してくれた。
こんな風に女子から優しくされると勘違いする。
勇者村の女で僕をまともに扱ってくれるのは、妹の近所のアリエストか、近所の婆ちゃん達くらいだからなぁ。若い娘には、相手もされず、時々無垢なちびっ子がヒーロー的な意味でキャーキャーしてくれるくらい。
なんか、緊張してきた。妹以外の女子と二人っきりなんていつ以来だろう。急に意識したせいか、体が震えだしてきた。
「大丈夫ですか? もう一枚、羽織ります?」
「あ、だだだだだだ、大丈ぶはっ!」
震えが止まるような一撃を、野ざらしの頂頭部に受けた。
光の矢が、頭に深々と刺さっている。
伝令魔法の矢だ。ダメージは無いが、あまり気持ちの良いものではない。
引き抜いた矢は、可愛い音と小さな煙を立てると、薄っぺらない紙に展開して、文字を浮かび上がらせた。
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