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ここは、山に慣れた僕が先導させて頂こう。
この状況で、レディファーストは良くないだろう。
恰好を付けるつもりは無いが、先頭は任せてもらう。
何度も通い慣れた山道だから大丈夫。とは言え油断は禁物。
モンスターの出現率は低い地域ではあるが、まったく出ないわけでは無く、時々現れるのが凶悪な奴だったりする。ほとんど、何もしないまま、一瞬で旅人を谷底に叩き落とす事もある。
「随分険しいですね。ガードの柵が欲しい所です」
「部分的に柵を付けていた時期もありましたが」
「崩れてしまっていますね」
「ええ、人間の力なんて自然の脅威から比べれば儚い物です」
毎年起こる土砂崩れの度に、根本的な部分から改修し、土台を固め、強化してきたが、次の年には、またやり直し。という事を長年繰り返した結果、足場だけは、固めその他付加的な安全策は費用対効果が少ないので行わなくなった。
そもそも、流通関連の行商人や旅人は、この山道を使わない。
どう考えてもリスクが高いから。
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