97人が本棚に入れています
本棚に追加
/228ページ
左右の剣を逆手に柄を構えるマルテイシア。
存在している時間が違い過ぎる。
大男が一呼吸する間に、何度も行動する彼女、柄を大男のみぞおちにめり込ませ、後頭部に打撃を与え、その場に平伏せた。
ごめんなさいの暇もなく、一瞬で山賊を殲滅。
大怪我はさせているが、殺してはいない。お優しい事だ。
「十秒以内に去れ、否、三秒以内だ!」
今まで聞いた事の無い、凄みのある声で怒鳴る。
彼らより先に、僕がビクついた事は言うまでもない。
言葉通り十秒以内。もっと早い速度で逃げ出した。
残された、お土産は壊れた武器くらい。僕は、戦闘に全く参加していなかったので、経験値も頂けない。彼女の華麗な暴漢対策を拝見しただけの数分間だった。
山道はまだ続く。むしろまだ入り口付近。
もう、何も出てこない事を祈って、斜面を登る。
舗装されていない岩場で慎重に馬を引く。
緩やかな坂は楽だが急斜面が多い。
馬の尻を押しながら、ちょっとした獣を倒しながら、険しい山を登る。
まだかクリスティニアン坑道、もう、疲れた。
最初のコメントを投稿しよう!