勇者LV.3

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 左右の剣を逆手に柄を構えるマルテイシア。  存在している時間が違い過ぎる。  大男が一呼吸する間に、何度も行動する彼女、柄を大男のみぞおちにめり込ませ、後頭部に打撃を与え、その場に平伏せた。  ごめんなさいの暇もなく、一瞬で山賊を殲滅。  大怪我はさせているが、殺してはいない。お優しい事だ。 「十秒以内に去れ、否、三秒以内だ!」  今まで聞いた事の無い、凄みのある声で怒鳴る。  彼らより先に、僕がビクついた事は言うまでもない。  言葉通り十秒以内。もっと早い速度で逃げ出した。  残された、お土産は壊れた武器くらい。僕は、戦闘に全く参加していなかったので、経験値も頂けない。彼女の華麗な暴漢対策を拝見しただけの数分間だった。  山道はまだ続く。むしろまだ入り口付近。  もう、何も出てこない事を祈って、斜面を登る。  舗装されていない岩場で慎重に馬を引く。  緩やかな坂は楽だが急斜面が多い。  馬の尻を押しながら、ちょっとした獣を倒しながら、険しい山を登る。  まだかクリスティニアン坑道、もう、疲れた。
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