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マルテイシアさんは特に長い詠唱も無しにその魔法を行使した。
指先程の小さな光。え、こんなものなの? と思う暇もなく、それは大きく広がり、真っ暗な通路は真昼のように明るくなった。
高度な補助魔法を事も無げに使う彼女に驚く。
僕の魔法能力は、自己強化型中心で、回復や補助魔法はレベルが上がってもろくな物は使えない。弱めの松明と同じくらいの明るさの魔法が関の山。
こんな本格的な明かりは、魔法のアイテムを使はないとできない。
「これで、半日くらいは明かりを保てると思います」
「そうですか、ありがとうございます」
ここで彼女に色々聞けばいいんだ。
「この、トロッコで移動するのですか?」
「はい、小さいですが……」
無言でトロッコの準備を行い乗車。
「行きます」
手押しのレバーを、全力で降ろす。二人乗りだと流石に重い。
時々油を差してメンテナンスは怠っっていないが、レバーは重い。床を蹴って弾みをつけると、トロッコはゆっくりと進みだした。
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