勇者LV.3

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「椅子に座ってベルトで固定してください」 「はい」  一度走り出したらゴールまで止まらないトロッコ。  二人乗りになると加速は倍になる。  都会には女子とトロッコに乗るアトラクションがあるらしい。  きっとこんな感じなんだと思う。  ドキドキハラハラ、いつ脱線するか分からない状況。  天井から覗く蝙蝠を無視しながら、トロッコは加速を続ける。  急な坂道、感覚的には真っ逆さまに思える場所、ゾワゾワとする感覚。  いつもより早いトロッコに、少々ビビりながらも悲鳴は上げない。  マスク越しだが彼女は、楽しそうな感じだ。  しばらくのアトラクションを乗り越え緩い坂を上る。  錆びた線路の音が響いてしばらくすると、ほとんど動かなくなったトロッコ。  ベルトを外して降り、車輪止めを噛ませ停車。 「到着です」  と言っても、まだここにはモンスターが居ない。
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