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鉄の扉の前で呪文を唱えた後、カギを開けた。
「お休みになりたい場合は扉の前のこちら側で」
「はい、このクッションでお休みします」
「カギは預けておきます」
徹夜でレベルアップする僕に付き合うことは無い。むしろ、これからの事を考えて、体力も魔力も温存しておいてほしい。
「あ、食料もこちらに置いておきますね川魚の薫製」
「そうですね、お腹が空いたらいただきましょう」
ゴッガゴン。
鉄の扉は立て付けが悪くて、体当たりじゃないと開かない。
扉を開けた瞬間襲われる事もあるから、勢いよく開けた方が都合がいい。
「あれ? 何も……」
いつもなら、少なくともクリスタルスライムの一匹くらいはいる筈なのに、雑魚中の雑魚モンスター、石コロッスの一匹も居ない。
「奥の方から気配を感じますよ。とてつもなく大きな、それも複数の」
「そ、そうですね、何かありますよね、気を付けましょう」
索敵能力の低い僕は、こう言う事に弱い。
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