勇者LV.3

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 鉄の扉の前で呪文を唱えた後、カギを開けた。 「お休みになりたい場合は扉の前のこちら側で」 「はい、このクッションでお休みします」 「カギは預けておきます」  徹夜でレベルアップする僕に付き合うことは無い。むしろ、これからの事を考えて、体力も魔力も温存しておいてほしい。 「あ、食料もこちらに置いておきますね川魚の薫製」 「そうですね、お腹が空いたらいただきましょう」  ゴッガゴン。  鉄の扉は立て付けが悪くて、体当たりじゃないと開かない。  扉を開けた瞬間襲われる事もあるから、勢いよく開けた方が都合がいい。 「あれ? 何も……」  いつもなら、少なくともクリスタルスライムの一匹くらいはいる筈なのに、雑魚中の雑魚モンスター、石コロッスの一匹も居ない。 「奥の方から気配を感じますよ。とてつもなく大きな、それも複数の」 「そ、そうですね、何かありますよね、気を付けましょう」  索敵能力の低い僕は、こう言う事に弱い。
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