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一瞬後ろをチラ見すると、マルテイシアさんが、両手の剣を一度鞘に納めていた。
水晶の巨人の一体目は、粉々に砕けてゴミと化している。
本気を出せば一瞬で片づけられた、と言う訳か。
実際レベルの数字は目安でしかないから、本当の強さはそこにはない。それまでの経験や鍛錬やその時出せる勇気が、本当の強さだと思う。
彼女はまだ何か秘めていそうだ。
今は、僕が足手まといにならないように善戦しよう。
彼女は合計十二本の腕、三体の巨人を相手にしている。
巨人が彼女を丸々囲むスペースは無いので、実質は二対一くらいの割合になるが、それでも息つく暇のないパンチを打ち込み続けられている。
僕は、奴らの背中から開拓者のツルハシを突き刺す。
水晶は意外と脆い。単体の硬度は高いが衝撃にはあまり強くない。鉱物と同じように、硬度のある先端が尖ったこのツルハシでガツガツ削れる。
あの硬いダイヤモンドだって、ハンマーで砕けるのだから。
質の良くない粗悪な水晶の体、彫像品としては売れるかも知れないが、素材としてはあまり価値が無いだろう。ここにいるのは似たような粗悪水晶モンスターばかりだけど。
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