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勇者LV.2
空気は乾いているが、曇りがちな空が見える。
どんよりとした空は嫌いじゃないが、あの空は普通じゃない。
既に最悪な状況だが、この先最悪の向こう側に行きそうだ。
うつむき加減で馬を走らせていると、鼻先に感じた腐臭、服の腐臭より新鮮な腐臭だ。警戒の為に、馬の速度を緩めよう。
おぞましい光景。戦争でもあったかのように、肉やら骨やら何やらが飛散している。アルベルバルトの町を襲いに来たモンスターを返り討ちにした現場なんだろう。
人型だったであろうモンスターの屍。
何人かの地元勇者と作業員が掃除しているが大変そうだな。
僕は、死んだような目でこちらを見る彼らを、もっとリアルな死んだ目で返し、薄ら笑いをしながら、その場を駆け抜けた。
もっと綺麗に片付けろよ、とか自分の事はさて置きそう思う。
死肉やら何やらを残していると、他のモンスターが湧くから、ちゃんと滅却処理とか、水で流すとか、土で盛るとかしないとダメなんだよね。
出来れば、草むらで戦うとか、場所は変えた方が良い。
でも、舗装されてる街道は、それなりに防御魔法とかモンスターが近づかない魔法が掛けられている筈なんだけど。
何か、背後から視線を感じる。町から着けつけられているのか。
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