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「調剤年月日が、全く同じだったからです。お2人の持っていた漢方薬の包みの隅に書かれていました」
「薬の包みの隅に書かれた文字を見たって…僕が薬を服用していたのを見たのは、談話室の外からだろう!?」
「私の視力は、両目とも5.0です」
倫音の告白に、晴人と美麗だけでなく、静かに事の成り行きを見守っていた温子も思わず仰け反るほどに驚いた。
「視力5.0って…君はサバンナのハンターか!?その推理力は名探偵コナン気取りか!?」
「どうせなら、明智小五郎にしてください。江戸川乱歩ファンなので」
「そこは何だっていいだろう!」
荒ぶった晴人に変わって、開き直った態度の美麗が口を開いた。
「同じ薬を飲んでたから、何なの?私も胃腸が弱いから、佐々木支店長に分けてもらったのよ。彼氏なんて言ったかしら」
口論を繰り広げていると、他に客のいない店内から、聞き覚えのある男の声が割って入ってきた。
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