第3章

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 雨音にかき消されてしまう。私の愛の告白が、また……。  彼の上で腰を振ると、一番良いところに当たって急速にイってしまう。その間、大きな手が両胸を包んで支え、強く抓まれると連動して膣が締め上がり、彼も余裕なさげにうめき声をあげる。ザーッと雨音のカーテンに囲まれたその安心感の中で、抱き合う度に私の知らなかった快感が溢れ出して、少しずつ粘り強く彼にしがみついた。 「…はぁ。もえ、さいこう」  名古屋営業所に勤務するようになっても、悠人は週末毎に私のところに通ってくれていた。会った途端短いハグでも体は反応して、人目が無くなる場所でキスをして、悠人以外の人の気配も気にならなくなっていった。これが恋。今私は四六時中、悠人のことばかり考えてる。 「ごめんな。どこかに連れて行ってやるっていつも思ってるのに……」  持て余した熱を吸い上げられた後のまどろみの中で、掠れた声が聞こえた。悠人の指が私の背中の肩甲骨をなぞるようにゆっくりと行き来する。まだ鼓動は落ち着いてない。気を抜くと眠ってしまいそうな、そんな気持ちの良い降下の途中でもまだ雨の音は鳴りやまない。 「俺。名古屋人、苦手だわ……」  ふぅ~とため息と共にタバコの煙が長く伸びた。悠人のために置いてある灰皿には、すでに何本もの吸い殻がくちゃっとしおれて、並んでいる。付き合う前の私は、タバコの煙が大嫌いだったのに、悠人の吸う銘柄の香りが好きで好きでどうしようもないほどだった。自分で吸わなくてもひと箱買って、枕元に置いておくだけで悠人の気配を感じられる。 「調子悪そうだよね。無理しないでね」 「うん……、だけどそうも言ってられないからさ。頑張んなくちゃ」  悠人の腕枕に頭を預けていると、タバコを吸い終えてすぐにまたキスが始まる。ぐしゃぐしゃに濡れたシーツの海でまた、二人で溺れていく。二十四時間掛ける七日間のうち、こうして肌を重ねられるのはたったの一日半。私達には余裕がない。
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