情けは人の為ならず

リサ

はあ、、、、、、

リサは自分の投稿を見ながらもう一度、深いため息をついた。

小さい子供2人を連れて、花火大会に出かけることが母親にとってどれだけ苦行なのか、、、リサは今日、身をもってそれを知った。

どこからこんなに人が沸いてでてきたのか、と思うくらいの人混み、、
そもそも、花火を見たいと駄々をこねたのは裕太だ。まだ小さい梨花は母親に預けていこうと思ったが、綺麗な花火を梨花にも見せてあげたい。そう思ってしまったとが間違いだった。

人混みの中に押し込まれてすっかり機嫌を悪くした裕太はやれ、喉が渇いただの、お腹が空いただのと喚き散らすし、梨花はそんな裕太を見て泣き出してしまう。

正直、花火どころではなかった。

帰りの電車の中では疲れ果ててしまい、花火大会に出かけたこと自体を後悔していた。

それなのに、、

なんであんな楽しそうな投稿をFacebookであげてしまうのか。。。

【花火大会なんか、ちっとも楽しくなんかなかったのに！！】

Facebookのウォールを眺めると、幸せそうな投稿記事が溢れている。旅行に行きました、美味しいものを食べてきましたなどなど。。そして、各地で花火大会が頻繁に行われるこの時期は、やはり、花火大会の投稿記事が多かった。

夜空を彩る花火の画像。浴衣姿で楽しそうな笑顔で映る友人の写真。。。。

リサはこの一年を振り返り、自分の身に少しでも楽しいと思えることがあったかと、思い返してみた。答えはノーだ。楽しいことなんてここ一年なんにもなかった。

Facebookの幸せ自慢の投稿を見ると他人に対する嫉妬で頭がおかしくなりそうだった。でも、それでもFacebookを見てしまう。ちっとも楽しくないのにさも楽しそうな記事を【偽造投稿】してしまう。そんな自分に嫌気がさしていた。