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どうして私だけ。。。
どうして私だけが、こんなに不幸なの。。
忸怩たる思いを抱きながらそれでも、Facebookのウォールを眺め続ける。
すると、
【情けは人の為ならず。っていう言葉の意味、知ってますか?】
というタイトルの記事が一瞬、目に入った。
それと同時に、今日帰りの電車で席を譲ってくれたスーツ姿の女の子のことを思い出した。自分とそう歳の違わない女の子。
黒いパンツスーツに身を固め、いかにも、仕事のできる女性、って感じだった。
リサにもそんな時期はあった。
社内恋愛で夫と結婚し、後ろ髪を引かれる思いで会社を辞めたことを思い出す。
「結婚したら、仕事をやめて、家にいてほしい。」
そう言って譲らなかったのは裕司だった。
それなのに、、それなのに、、、
あんたが先に死んでどうすんのよ!
私と子供2人も置いてきぼりにして!
この裏切り者!
【お願いだから、、、、、、
ここに戻ってきてよ!!】
誰かが投稿していた花火大会の動画を再生した。漆黒の闇に色とりどりの大輪の花が咲き乱れる。臨場感あふれる動画は、火薬の匂いすら画面越しに感じるくらいの迫力だった。
実際の花火大会の会場では、火薬の匂いなど気にもならなかったのに。。。
何よ、、、何よ、、、
花火大会なんて、、、
動画で見れば充分じゃない!!
気がつくとリサは俯きながら泣いていた。
ポタポタと落ちてくる涙の雫がスマホの画面を濡らす。画面いっぱいに広がった花火の映像は、リサの涙の雫で醜く歪んでいった。
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