レンタル桜をもう一度

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「みんなは一流の優良企業に就職できて良かったねって言うけど……働いてみたら聞いた話とは全く違ってたんだ。残業は毎日五時間以上。休日出勤は当たり前。それでいて、残業するのは能力が無いからって……退勤した事にさせられて働いてるの。一緒に入った新人は半分以上辞めちゃって……それでも、私は頑張ろうって思ったんだよ。でも……最近は接待ばかり付き合わされて、その……セクハラも……一回だけ断ったら、終わりの見えない仕事を渡されちゃってさ。接待に行くなら仕事を減らしてやるって……」 「完全にブラックじゃないか。俺の三流会社よりも酷いぞ。誰か頼れる人はいないのか?」 「同僚は助け合ってるよ。主任や係長も少しはフォローしてくれる。だけど、みんな自分の仕事で手一杯だから……」 「課長以上で頼れる人が一人くらいはいるだろ?」 「課長以上は飲み会にゴルフ……接待と言う名の遊びに忙しいみたい。部長や専務なんて、仕事の話をしてる方が珍しいよ。接待に付き合わされるとね、同僚の目も痛いんだ……あいつは遊んでるって。セクハラとパワハラの飲み会なんて、行っても面白くないのにね……」 酷過ぎる。会社を支えなければならない社員が遊び、経験の浅い新人と中堅が会社を支えるって、本当に一流企業なのだろうか? 「それで、辞めようか迷っているんだな」 「辞める? 考えた事も無かったな。私が辞めたらみんなに迷惑がかかるし、我慢するしか……」 駄目だ。完全に視界が狭まり、真っ直ぐしか見えていない。過労で倒れたり病気になった人は、敷かれたレールしか見えなくなるってどこかで聞いた。 このままでは、和葉は壊れてしまう。そして、最悪な事態も……
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