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   部を辞める前はそんな男どもがフラれる様を見て優越感を感じていたが、今のいつ捨てられてもおかしくない現状を考えると、噂を聞くたびに気が気ではなかった。  そして最悪なことに、サッカー部には幼なじみであるあの男も存在しているのだ。俺と入れ替わるようにしてレギュラー入りし実力はそこそこだが、その人柄と俺とは対照的なブランド物で固めたセンスある服装、おまけに多趣味で話題も豊富なため部内外問わず人気も高い。  俺と同じ小学校からの幼なじみで、なおかつこれだけのスペック差のある男と恋人が長時間一緒にいるのだ。毎日、盗られるのではないかと気が気ではなかった。  俺は悩んだ末、血反吐を吐く思いで幼なじみの所へ謝罪にいくことにした。殴ったこと、今まで無視したことを。そして、前と変わらぬ友人に戻りたいと懇願した。  あいつは怒ることも詰ることもなく、それどころか、今でも変わらず最高の友人であると臭いであろう俺を気にせず抱きしめやがった。  そのあまりに傲慢な振る舞いに衝動的に殺してやろうと首に手を伸ばしたが、恋人のことを思い、ぐっとこらえて抱きしめ返した。  目論見どおり友人関係に戻った俺は、あいつの恋愛面について話す機会を得るようになり、恋人のことは幼なじみとしか見ていないこと、別に彼女がいることを聞き出すことに成功した。  それで一応は安心したものの、俺が幼なじみと仲直りしたことを恋人がとても喜んだ姿を見て、油断出来ないと踏んだ俺は監視を続けるべく、あいつとの友達ごっこを辞めることが出来なかった。そして、それは高校を卒業するまで続いた。
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