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そうした経緯を経て式場についたものの、俺は中に入ることは出来なかった。ドレスコードを満たしておらず、招待状を拾った浮浪者と間違えられたからだ。
考えてみれば当然ではあるが、仮にも招待客に無礼を働く受付と揉めていると、警備員を呼ばれてしまったので慌てて退散した。
とはいえ、このまま引き下がる気もないので、裏手回ってこっそりと敷地内侵入する。こちらは警備も手薄だったので、出入りする配送業者の車に紛れて上手く入り込めた。
そこから見つからないように回り込むと、チャペルの中が見える窓があったので覗き込みーーそして、衝撃を受けた。
そこには、幸せが溢れていた。俺と付き合っていた頃とは別人のように美しく、幸せそうなかつての恋人。その隣には学生時代より凛々しくなり、負けないくらい幸せの笑みを浮かべる幼なじみの姿。そして、それらを心から祝福する人々の声でチャペルは溢れていた。
その光景を見て、脳裏に幸せの絶頂にあった前世の最期が浮かぶ。それと共に、沸騰するような怒りが浮かぶ。
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