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♯2
そうして始まった新たな人生は、概ね順調な滑り出しを見せた。特に事故も障害もなく新たな私はスクスクと育ち、地元の小学校に進学した。仮にも大学卒業までいった頭脳があるので、勉学は常にトップの成績を維持していた。
また、身体の動かし方も覚えていることに加え、新たな私の運動神経も優れていたのか、スポーツも万能であり、おおよそどんな競技でも私より上手い生徒は周囲にはいなかった。
また、何をされても相手が小学生だからと癇癪を起こすこともなく、常に彼らに合わせる態度も教師生徒問わず好感を呼び、自分で言うのも難ではあるが、絵に書いたような優等生として私は持て囃されていた。
ゆえに友人も数多くいたが、何の因果か、その中でも特に仲の良かったのは、前世と同じく近所に住む二人の幼なじみであった。
これも同じく男女一人ずつであり、女の子の方は前世によく似た心優しい性格であったが、男の子の方は真逆の育ちのいい裕福な少年であった。
特に少年の方とは学業も運動も拮抗しており、競い合うことが多かったが、前世の恩恵のおかげか、いずれも私が常に勝っていた。だが、彼はそんな結果に腐ることなく潔く負けを認め、そして次に勝つための努力を怠らない男であった。
そんな彼に反則のような術で勝利を重ねることで少し罪悪感を感じはしたが、それでも小学校を卒業するまで幾度となく競い合い、お互い切磋琢磨する内に一番の親友と言ってもいい仲になっていった。
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