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終末
♯0
私は恵まれた人間だ。
家は特別裕福ではないが、それでも生活に困ったことはないし、欲しいと思ったものが金銭的な事情で買えなかったことはない。
両親は理解ある人で、私を叱ることはあっても、考えを頭ごなしに否定することはなく、様々な体験を積極的にさせてくれた。
その素晴らしさは、私が常に多くの素敵な友人に囲まれ、どんな困難も乗り切り、こうして社会人として立派に自立するまでに至れたことが証明している。
そして何より、私にはかけがえのない同い年の幼なじみが二人いる。
家が元々近所だったこともあり、始まりは小学生から、なんと偶然にも大学に至るまで二人とは同じ学校であった。
一人は女性であり、モデルのような特別美人というわけではないが、万人が惹かれる愛嬌があり、何より心優しい人物である。
昔から大人しい性格で、小さい時は私ともう一人の幼なじみの後をついてくることが多かった。
中学生になり、私がサッカー部に入ると、続くようにしてマネージャーとして部に貢献してくれた。高校生になってからもそれは変わらなかった。
一時期は私と男女の仲でないかと噂になったが、当時はお互い別の相手がいたし、何より付き合いが長すぎてそのような異性としては見てはいなかった。
そう考えると実に不思議に思う。そんな風にしか見てなかった女性と現在、挙式を挙げているとは。
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