胸の奥の枯れない花
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坂口の家はあった。 表札もそのままだった。まさか、インターホンを押したりはしない。 坂口の家の横の塀。かつて、姉ちゃんがこの上に登って僕たちを見降ろしていた。 そこには最近の子供たちが描いたのだろうか、落書きが色を使って描かれている。 今は寂れてしまった住宅地に、唯一ここだけ家庭の生活感を感じて、僕はバイクのヘルメットの中で嬉しかった。
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