第1部:カラスと冒険の始まり

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「いいから、契約して来なさい。 色々な神様の元に行けば、幾らレイヴでも契約してくれる神様ぐらいいるでしょう。 分かった?」 「脚が疲れたッス」  家から放り出された。  痛む尻を抑えながら、立ち上がる。 「かあ」  何故かさっきのカラスがいたので触ろうと手を伸ばす。 逃げる様子もなく、俺の手が受け入れられる。  野生の上に怪我だらけのカラス、けれど存外に触り心地は悪くなく、サラサラふわふわとしている。 「着いてきたのか? ……そんなわけないッスか」  そんな自分を軽く笑うが、その言葉を認めるようにカラスを撫でていた手にカラスが頭をスリスリとする。 心地良さそうに「かあ」と一鳴き。  鳥が好きという訳ではないが、可愛らしい。 「俺んちくるか? いや、すぐに旅立つから、一緒に旅をしよう」  カラスは返事をするように一鳴きする。 手を差し出すとその上に乗ったので、持ち上げて頭の上に乗せる。 「じゃあ、とりあえず神と契約するッスよ!」 「かあ」  このカラス、テンション低いな。  頭の上にちょっとした重みを感じながら、疲れた足を動かす。 とりあえず、近場の神様に会いに行けばいいか。 「頑張るッスよ!」 「がんばれ」     
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