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ん? 何処からか鈴を転がすような高い声が聞こえたが、周りを見渡しても姿は見えなかった。 女の子にモテたすぎて幻聴が聞こえ始めたのかもしれない。
カラスを頭の上に乗せているからか、少し奇異の目で見られるがあと何日いるかも分からない街での視線になど気にしていられない。
以前から時々話相手になっていた神様の元に歩いた。 人が少なく、だだっ広いだけのそこは開放感のある場所で、お気に入りでる。
周りに木々や家もない、広場のようになっている空間。 その中心にある馬鹿みたいにデカい樹の元にまで歩き、カラスを落とさないように気をつけながら跪く。
「お久しぶりッス。 今日は契約をしてもらいたくて」
『おお、レイ坊か……んー、無理じゃなぁ』
仲のいい、爺さんのようにも思っていた樹の神にまで契約してもらえないのか。
悪い夢でも見ているのではないかと思いながら、フラフラと歩いて次の場所に向かう。
『レイ坊、複数の神と契約するのはあまり褒められたことじゃないぞ』
「そりゃそうッスよ」
この爺さんは何を普通なことを言っているのか。 複数契約はマナー違反であることぐらい、そこらの子供だって知っていることだ。
最悪、契約できなくとも問題はない。
武に掛けては、ある程度は腕に覚えがある。 異能力がなくともそこいらの魔物に遅れを取るということはないだろう。
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