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爺さんに別れを告げて、次の場所に向かう。 ここから近いのは川の神だろうか。
水流が唸りを上げて、土を飲み込み地面を抉り取るように俺の足元を崩しながら迫った。
質量と勢い、正しく圧倒的な暴力。 俺はそれを避けるために腹に巻いていた鎖を投擲し、近くの木に巻きつけてそれによじ登ることで回避する。
『舐めてんのかワレェ!? ぶっ殺してやらぁ!!』
「なんで!? なんでキレてるんスか!」
神の力は強大だ。 特に流動と重さの神でもある川の神の力は単純な破壊力に関して言えば非常に強い。 信徒が少なく、力をあまり分け与えていないのも強さの一因だろうが。
捕まっていた木ごと飲み込むような水流。 話し合いは不可能と判断して、木の上で飛び跳ねて土手にまで跳ねてその勢いのままに転がる。
轟音、破砕音。 爆発を思わせる音を背にして、冷や汗が流れる。 こんなに嫌われること、したっけ?
少なくとも覚えはなかった。 言い訳をしようとした口は息を吸うことに従事している上に、激昂している川の神が聞く耳を持ってくれるようにも見えない。
本気で走って逃げる。
『コラァ!? 待てやテメェ!!」
「待つ訳ないッス、ないッスよ!」
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