第1部:カラスと冒険の始まり

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「……流石に土はないッス」 『うわーん! 俺もお前に加護なんて与えたくないからな!』  結局、どの神からも加護を与えられ、異能力を授けられることはなかった。  神に見放されて異能力が手に入らなかったなど、女手一つで俺を育ててくれた母親に申し訳が立たない。  現実問題としても、旅立つには異能力が必須である。 このままでは旅立って本懐を遂げることも難しい。  肩を落としながら、家に帰ろうと脚を向けると、号外だ号外だと騒いでいる人を見かける。  すぐに人溜まりが出来始める。 「今代の聖女様が、水の神(アオイ)様のお声を聞いたってマジかよ」  都合良く号外の内容を言いふらす者が現れて、家に帰ろうと進めていた脚を止める。  金髪のチャラいにいちゃんの肩を掴み、尋ねた。 「今の話、本当か?」  おそらく号外の内容だろう。  金髪のにいちゃんの持っている号外をひったくり、聖女様の姿を映した写真を確認したあとで返して、号外を売り歩いているところに駆け寄る。 「おっちゃん、十部くれ、十部ッス!」 「はいよー、500Gだよ」  おっちゃんに金を渡して、号外を受け取る。     
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