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「……流石に土はないッス」
『うわーん! 俺もお前に加護なんて与えたくないからな!』
結局、どの神からも加護を与えられ、異能力を授けられることはなかった。
神に見放されて異能力が手に入らなかったなど、女手一つで俺を育ててくれた母親に申し訳が立たない。
現実問題としても、旅立つには異能力が必須である。 このままでは旅立って本懐を遂げることも難しい。
肩を落としながら、家に帰ろうと脚を向けると、号外だ号外だと騒いでいる人を見かける。
すぐに人溜まりが出来始める。
「今代の聖女様が、水の神様のお声を聞いたってマジかよ」
都合良く号外の内容を言いふらす者が現れて、家に帰ろうと進めていた脚を止める。
金髪のチャラいにいちゃんの肩を掴み、尋ねた。
「今の話、本当か?」
おそらく号外の内容だろう。
金髪のにいちゃんの持っている号外をひったくり、聖女様の姿を映した写真を確認したあとで返して、号外を売り歩いているところに駆け寄る。
「おっちゃん、十部くれ、十部ッス!」
「はいよー、500Gだよ」
おっちゃんに金を渡して、号外を受け取る。
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