tears

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***** 「うわぁキレイな場所ー!」 「泳ぎたーい!」 「ねえ、知ってる?この浜辺って夏になると人魚が現れるんだって」 いつしかそんな戯言(たわごと)(ささや)かれるようになった。 きめの(こま)やかな砂浜に、透明度の高い海水。 ゴミ一つなく穏やかな海流の海岸なのに、誰一人として泳ぐ者がいない。 「人魚?会ってみたい!」 綺麗に整備された、美しい浜辺。 太陽光を反射して(いざな)う波が季節を感じさせ、心踊らせる。 「襲われるかもしれないよ?」 「え?」 「その人魚ね、人になりたくて人を食べるんだって」 通り過ぎる[人]の姿を、波間の影からそっと伺う。 「海に入ってくるのをじっと待ってるらしいよ?」 ───後どのくらいの[人]を喰らえば良いのだろう。 季節は巡る。 また水温が高くなり、[人]が涼を求めて水と(たわむ)れるのを、私はじっと待つ。 後、少しなんだもの。 後、ほんの少し…… そう願いを抱え両目を潤ませる。 ~fin~
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