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───醜い。
私はなんて醜い姿なの?
なぜ私は浜辺で戯れ、甲高い声を上げて男を悦ばせているあの[人]たちと違うのだろう。
羨ましい。
あの小さな眼に浮かぶセピア色の丸い瞳、すらりとした鼻、ぷっくりと艶やかな唇に滑らかで弾力のある肌。
身体を天へと伸ばし、風を追い、水を蹴ることさえも出来る細い四肢。
私のそれらとは全く違い、ただにこりと笑むだけで男を魅了し、腕に抱かれ安らぎを得る。
妬ましい。
だから、溢れるのだろうか。
『ミツキはバカな娘』
『あれらは私たちの敵、私たちを喰らおうとする野蛮な種族』
『身を隠さなければ、殺られてしまう』
『奴らに近付いてはいけない』
そう教えられてきたのに、私には憧れであり、羨まずにはいられない。
同じ時期に必ずやって来る彼らを遠くからただただ見詰める。
───美しい[人]。
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