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「それにしても、突然と人前式をしたいなんて言ってすまない。サフィールも強引で」
「構いませんよ。それに、彼女にはとても力になってもらいました。私にとっても親しい人に祝ってもらえるのは、嬉しい事ですから」
申し訳なさそうにするアレックスに対し、オリヴァーは柔らかく微笑んで言った。
彼の妹、サフィールから「人前式で指輪の交換をしてはどうですか?」という提案があったのは、指輪を注文してからしばらく。
多少恥ずかしい思いもあったが、少人数で場所もこの屋敷、日中の式ならばいい気がした。
なによりアレックスが一般人で、法的には二人の間に何もない。ファミリーネームが変わるわけでもない。
だからこそ形だけでもこうした式をすることに意味がある。サフィールの力強い提案は、そのまま納得できるものだった。
「俺の方はサフィールとその婚約者のリド。後は数人友人がくるが、友人達は俺の性癖も相手が男であるのも知っているから、気兼ねする事はない」
「私の方は上官のファウスト様とその恋人のほかは、お世話になっている同僚が数人です」
「ファウスト様とその恋人というと、昨年の建国祭でお会いした?」
「えぇ」
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