【おまけ1・R18】責任取ってくださいな

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 程なくして二階の自室に上がり、フルランには出て行ってもらった。これ幸いと彼は逃げる。あくまでリッツのプライベートには関わらないという、有り難い奴だ。 「お前、まだ王都にいたんだな」  ソファーに腰を下ろしたグリフィスに、リッツは苦笑して頷く。別れた時には次に会うのがこんなに早いと思わなかったから、言わなかったのだ。 「春くらいまでは王都とスノーネルを行ったりきたり。船には乗らないんだ」 「あぁ、潮目か」 「そう。海も荒れる季節だからさ。冬はスノーネルのニットと絨毯の取引」 「手広いな」 「商人に農閑期みたいなものはないの。自分の目で見た良いものを仕入れて、それを必死に売り歩く。作り手とも会話して、不足がないかちゃんと見て、それから。ここを上手くやってこそ、商人だよ」  ここまで言って、少し照れる。こんな事を他人に話す事はない。当然のことをしているつもりだから。  それでもグリフィスは聞いてくれている。変わらない態度に、ほっとした。 「あの……さ。グリフィスさん俺、俺……あんたじゃないと満足できなくなったっぽい」 「ん?」  金の瞳が見下ろしてくる。その目に見つめられると一度の情事を思い出す。鋭いくせに優しく細くなる瞳が色を含んで笑うのを、思いだしてしまう。  駄目だ、体の奥が熱くなる。淫乱を隠せない事に恥ずかしさを覚えてしまう。     
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