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体に力が入らない。ヘナヘナと気を失いそうな快楽に震えたまま倒れても、逞しい体は揺らがない。抱きとめられて、そのままもう一度キスをされる。今度は褒めるように、優しいものだ。
「一緒に寝てやるから、安心しろ」
優しく低い声に、リッツはふにゃりと笑う。意識はそこまでだった。
翌朝、逞しい体に縋ったまま目が覚めた。隣では気持ち良さそうに眠る人がいる。
うっ、腰痛い……
重く怠く痛む腰に手を当てるが、気持ちはもの凄く満たされている。ついでに言うと体もスッキリとすっからかんだ。これなら次の安息日までは欲しくならないかも。
抱きついて、肌の匂いを存分に感じる。これに落ち着いて、これに欲情する。
春まで長い。その間、この人だけで満たされるのもいいんじゃないか?
リッツはひっそりと考えて笑う。誰が相手でも満たされなかったリッツの性欲は、ようやく一人を選んだのだった。
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