第3章『ゴグ・マゴグ』

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第3章『ゴグ・マゴグ』

 メタトロンが姿を潜めてから数年後……とある、空軍隊の練習空域。  練習軍用機に初めて一人で搭乗した、航空女性隊員の『弁財天アテナ』の所属する隊は、未知の脅威と遭遇していた。  教官の声がコックピットで操縦 操を握るアテナのヘルメット内に響く。 《編隊を維持しろ! バラバラになるな!》  アテナたちが遭遇すているのは、鷲型をした未知の飛行機体だった。  軍用機より巨大でありながら、機動力に優れ、大空を信じられないスピードで縦横無尽に飛び回ってアテナたちの練習機体を翻弄していた……まるで、人間をからかっているかのように。 (信じられない、あの大きさでどうやって、急旋回や急降下ができるの……まるで、機械の鳥)  謎の機体が、急接近してきてアテナ機の横を接触ギリギリの平行飛行をしてきた時───アテナは、機体にコックピットが見当たらないコトに気づく。  そればかりか、空軍将校帽子を被った鷲型の飛行機体は、横目でアテナの方を見てクチバシの端を上昇させて嘲笑った。 (コックピットはどこ? 内部コックピットの最新鋭機なの?今、確かに笑った……なんなのコレ?)  鷲型の飛行機体は、練習機体の編隊を掻き乱すように飛行する。それはまるで、猛禽類が小鳥の群を弄んでいるようだった。  武器を搭載していない練習機体は次々と、互いに衝突したり、バランスを失い失速落下していく。  最後に残ったのはアテナの機と、教官機だけだった。教官の声が聞こえてきた。 《アテナ、お前だけでも逃げろ! オレが囮になってヤツを引き付けている間に、この空域からできるだけ離れろ!》 「教官一人を置いて行けません! あたしも、あの怪物に……」 《これは教官命令だ! おまえは基地へ生還して、見たコトを伝えろ! 生きろ》  平行飛行していた教官機のコックピットで、教官がアテナに向けて「行け」と指で指示を出すのが見えた。  第一線を退いて若手の育成に力を注いできた、空の男にはわかっていた……あの鷲のような怪物がアテナの高度な操縦技能を認め、メッセンジャーとして弁財天アテナを選んだというコトに。 《化け物! オレについてこい!》  大きく旋回した教官機の後を、 機神空軍師団長【テンペスト】が追う。 「教官!!!」  黒雲の中へと消える、教官機体と孤高の荒鷲テンペスト。  数分後に雲の中で、閃光が光り、爆発音が聞こえた。 「そんな……教官」  アテナは涙を拭くコトも無く、空軍基地へと生還して空で遭遇した飛行機神の存在を伝えた。
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