異世界転生(予定通り)

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異世界転生(予定通り)

彼は死んだ。この目ではっきり見た。 悲しかった。たった数時間の付き合いなのに。 でも、彼の幻覚が見える程じゃなかったはずだ。 「なんで、生きてるの……? 」 「生きてて何が悪い」 場所は俗に言う天国。天使や神の生活する世界。そんな場所に、人間である彼がいる。死んだはずの、彼がいる。 「よく分からないけど、ここにいた」 こっちだって、全く分からない。 二人揃って首を傾げていると、後ろから声がかかる。 「私が呼んだんです」 「先輩? 」 「呼ばれた覚えはない」 現れたのは、一段と偉そうな神様。天使のお供までいる。 どちらも女性で、ホグの先輩らしい。 「彼は死神に殺されましたから」 「責任問題ってこと? 」 「察しが良いですね」 ただ気にくわないのは、"死神"に殺されたということ。あいつはホグが何とかしたはず。 「うん。ここにあるよ」 謎の空間から、あの死神を出すホグ。顔がものすんごいことになっているのは、お察し頂こう。 「じゃあ、僕を二等分にしたの誰? 」 「私だ」 後ろから聞こえた声に、本気で殴る。全く、神様は背後をとるのがお好きで。 「初対面で何をする」 「会ってもないのに殺されたんだけど? 」 面は全く見てない。 皮肉を言うと、意外と効いた。
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