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「生卵と言って、鶏から生まれる無精の卵です。その卵は賞味期限が明日までで、少し焦ってたんです」
「いや、そういうことじゃないと思うよ」
何となくのノリで、長々と説明する。
こうしてヘイト稼ぎをして、この行動不能状態を解こうと思ったのだ。結果は失敗も失敗、大失敗。
「我にこんなものを……! っ、死んで償え! 」
もう一度振りかぶって、今度は頭から落とされる鎌。
やベぇ。マジやベぇ。
口さえ動かなくなった。だんだんと、思考も鈍くなっていくのが分かる。
ああ、人生終わりだ。そこそこ楽しかったなぁ。さあ、ばっちこい!
…………ん?
何時の間にか閉じた目を、右目だけ開ける。そして見えたのは、怒り狂った死神が動かない鎌に力を入れている無様な姿。
「君の行いは止めさせてもらうよ」
うん、やればできる神。YDK? それともYDG? ああ、LDKだ。
「カッコよく死ぬかと思った。心の中でばっちこいとか言っちゃったし。恥ずかしい」
「君は死にたいの? 生きたいの? 」
「生きたいです」
拳を構えるホグに、勘弁して欲しくて甘える。全部任せたっ!
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