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もうダメか。そう諦めかけたホグだが、彼はまだ抗う。
「ッ! 『完全防御』! 」
手を強く握り、先程の感覚を思い出す。それを、今度は精度を上げて使う。
丁度道の所で、受け止める木なんて無い。そこへ、速度はそのままで落ちる。
「「ッ!! 」」
大きく息を飲む。すると、伝わったのは呆気ない程の衝撃。それと、砂の感触。
何時の間にか閉じていた目を開ける。
見えたのは、真っ直ぐに続く道と、それを挟む木々。
「……ははっ。魔法、サイコー」
「そう、だね……」
今までの緊張が解け、一気に脱力する。
自分たちは助かったんだ、と安心する。
そこへ、カッポカッポと馬特有の足音がする。
むくっ、と起き上がり、手を振る。
大して速くない馬車が止まり、中からダンディーなおじさんが出てくる。
服装からして、狩人だ。
「君たち、こんな所で何をしてるのかい? 」
当然の疑問である。
声までダンディーなのは、いっそ惚れてしまいそうになる。
「それが空から……」
今更だが、神様とか話に出してもいいのだろうか。そう思い、視線でホグに問う。
ホグは頷くかわりに、前に出る。
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