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「実は、転移魔法の練習をしてるんです。人気のない所なら安全だと思って」
「そうかい」
……ん? 魔法? それって、神だって公言してない? でも反応薄い……。神って珍しくないのかな。
「でも、帰る魔力がなくて。送ってもらえませんか? 」
「ああ。積み荷が乗ってるから狭いがね」
「乗せてもらえるなら構いません」
なんか上手くいってる。
ありがたく、後ろの積み荷に乗せてもらう。おじさんも、一人用の馬車に乗る。
可愛いくらいに小さい馬車だ。
驚いたのは、馬の手綱を握らないことだ。
「手綱、握らなくていいんですか? 」
そのまま出発したので、心配になって訊いてみる。
「ああ大丈夫だ。うちの妻は優秀だからね」
えっ。実は馬を妻と言うヤバいおじさんだったのか……!?
「あ、そっか。君はまだ知らなかったね」
「 ? 」
「この世界では、皆魔法が使えるんだ」
「『ウォーター』」
今度は手を握らずにやった。
「早いね……」
英語の意味通り、水が出てきた。想像した半径二センチメートルの球体で。
それを、一口で飲む。すると、水道水より美味しかった。
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