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「詳しく話せ」
「……」
態度の急変は良くあることだ。ジト目なんぞ効かん。
「神様は人間とそう変わらないから、構成も似てるんだ。勉強、恋愛、健康などあって、ボクの担当は運」
「あ、今度受験だから勉強の神様紹介して」
「その必要はないよ」
そうか。僕はそこまで天才なのか。
「もうすぐ死ぬからね」
「……」
無言でポケットにあったドライバーを、変質者の喉に突きつける。
「無駄な抵抗はよしなよ。君の"運命"は変わらない」
思考を巡らせる。
運命。運絡み。こいつの担当。ならこいつのせい。よし殺す。
喉を突き抜けるドライバー。初めての人肉の感触。生暖かい感触が、手にあたる。
『酷いなぁ』
グリグリ
『そんなことしても、ボクは死なな』
グリグリグリ
『いや、もう諦めなよ』
グリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリ!!!
『分かった、ごめんなさい! 悪いようにはしないから! 』
スッ
『いやぁ、まさかこんなことをされるなんて……」
巻き戻しのように、治っていく喉の穴。
刺した時に、こいつが平気なのは分かった。正直、人生で一番パニックになった。でも、主導権がこっちにあったから、弄んだ。
自分でも分からないこの精神力。いったい、どこからきているのだろう……?
「あー。あー。……うん。ごめんね。今度はちゃんと説明するよ」
その申し訳なさそうな顔に免じて許す。
「まず。ボク達神様は、人間とほぼ同じ。だから、肉体も同じなんだ。でも、ボクが生きているのは、魔法のおかげ。ここが、決定的な違いだね」
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