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髪も喋り方もほぼ男だけど、目を見れば分かる。
男と女で、触れられた時の反応は違う。外に出なくても、目の中にはしっかりある。
「なんでかさぁ。男だって思われるんだよね。まあ、気にしてないけど」
「そうか」
半月と星の光りが照らす夜道。田舎だからこその風情。この時期は蛍が飛び交う。
「男性にも女性にも言われるんだ。特にトイレとかさぁ。新しい所になる度に憂鬱だね」
「そっかぁ」
川の流れる音がする。虫の鳴き声が聞こえる。ホグの愚痴が聞こえる。
「神様なんだから、それくらいできて欲しいね」
「そうだね」
何時の間にか、行く先はあの場所。暫く行ってないから、変わっているかもしれない。
「だからさ、君だけが……」
「顔を上げて」
「……! 」
そこは、絶景ではない。綺麗なんて言葉が、全く似合わない場所。だから、昔、僕が作り変えた。
たくさんの花が咲く、素敵な場所に。
蛍が飛ぶ、綺麗な場所に。
「死ぬ前に一度、この場所を見たくて」
「……凄い」
それは言い過ぎだ。ここは、絶景とは言い難いレベルだから。子供ができる、ギリギリだから。
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