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「ここで!? 朝まで!? 」
未だに背中に乗るホグが、驚いて揺れる。
体幹を鍛えてないと、倒れそうだ。まあ、学生レベルだけど。
「ぼ、ボクには除霊という奥手があってだね! 」
「あ、人魂」
「ひぃぃ! 」
おおう。首が更に苦しく……グフ。
カンカンカンカーン、と聞こえた気がした。
「おおお、お化けなんて、いなーい……さっ。お化けなんて……うっそ、さ」
「懐かしいなぁ!? 」
復活した。ツッコミのためなら火の中水の中山の中。
冗談はさて置き。
「ほら、朝日だよ」
誰も朝まで長いなんて言ってない。
少しだけ見える光に、これから死ぬことを忘れて見入る。背中で震えるホグに、引き戻されるまで。
「それでだね。君の死亡時刻は、六時過ぎ」
「てことは、残り二時間くらいかな」
腕に付けた腕時計で確認する。指している時間は、四時二分。
「いいや、残り一分だ」
「神様ってのは、割り込むのが好きだな! 」
突然後ろから聞こえた声に、経験済みだからこそできるパンチ。すると、呆気なく斜面へ跳び、転げ落ちる。
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