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「なーちゃんっ」
横並びになって、話しかける。真っ暗な細い道は、ひとなんてほとんど通らない。
もっとも、おまわりさんに会ってしまったら、中学生のわたしたちは、すぐに帰されちゃうけど、ね。
「なあに、リリ」
「どこに行くの?」
わたしがぴょんっと跳ぶと、リュックに付けられた黒猫のキーホルダーも、ぴょいっと飛び上がる。
「な・い・しょ」
ふふ、と不敵に笑ったなーちゃん。なーちゃんのカバンには、わたしと色ちがいの、白猫のキーホルダー。
でも、わたしと違ってぴょんぴょん動かない、すました猫さんだ。
顔つきもわたしのと同じはずなのに、白猫のほうが大人びて見える。
「えー?」
「大丈夫。遠くはないから、お金は足りるよ、たぶん」
「そういうことじゃないもん」
大丈夫、大丈夫と連呼するなーちゃんに、わたしは聞き続ける気力が失せてしまった。
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