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 今思えば、あの時引き返すことができていたのかもしれない。これから起こる出来事よりも、ただその『城』が放つ妖しげな美しさに魅いられていた。 『どうしてもあの城に行きたい』 私は強烈にその城に引き付けられていた。  吸い寄せられるように城を見上げていると、妖しげな鳥に声をかけられた。破滅的な声だ。聞いていると気が狂いそうになる。鳥は言う。 「あの城に行ってはいけない」 「あそこにはなにがある?」 「あの城に行ってはいけない」 妖しげな鳥はそればかりを繰り返す。 いけない、気が狂いそうになる。早くこの鳥から離れよう。 ふらつく足取りで、私は城へ向かった。
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