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水色の眼鏡、真珠色の瞳、茜色のレンズ
時計の針が三を指し、四を指す。
長い針が短い針を追い越したころ、終わりの合図が聞こえる。
自転車のブレーキを掛けるような音。
その後、カタンと物音がする。
そして、動き出し、遠ざかっていく。
いつもこの時間にやってくる新聞配達。
これが私に終わりを告げる。
この音を聞くと、私は目の前のノートを閉じる。
教科書をスクールバッグに入れる。
机のライトを消す。眼鏡を外す。ベッドの中に潜る。
天井が視界に入る。
暗く静まり返った部屋。
カーテンが、青白く透けてくる。
眠らなきゃ。慌てて瞼を閉じる。
ああ、今日も終わった。
もうすぐ、私にも新しい一日がやってくる。
スマホの電子音が騒々しく鳴る。
まるで非常ベルのように、小さな部屋に響き渡る。
最大音量に設定しているから、本物の非常ベルのように家中に響き渡っていたのかもしれない。
けれど、私には風に揺れる風鈴のように、心地良く軽やかに響いていた。
毎日聞いていると、非常ベルも風鈴になってしまうのだから不思議だ。
心地良い音色に揺られながら夕涼みをしていると、遠くの方から足音が聞こえてきた。
トントン、トントン。
誰だろ。
トントン、トントン。
もしかして、あなたは……
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