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学校に着くと、いつもの教室に向かい、自分の席に座る。
それは、学校の私という役の始まりの合図なのだ。
例えるなら、女優がカメラの前に立ち、目の前でカチンコを鳴らされ、芝居が始まる、そんな感覚に近い。
まあ、芝居なんてしたことないけど。
クラスメイトの結花が近づいてきた。
さて今日も、私始めようか。
よーい、スタート!カチン。
私は、結花に微笑んで言った。
「結花、おはよう」
結花は満面の笑みで、私に言った。
「おはよう、かすみ」
嫌な予感がした。
結花がニコニコ顔で近づいてくるときは、大抵面倒くさい話をされるのだ。
「聞いてよ!ともくんがね、一緒の大学受けないって言ってきたの。あんなに結花と同じところがいいって言ってたのに」
ああ、いつもの一方的な恋愛相談か。
私が何を言っても、『ともくん、やっぱり私のために』って、良いように解釈して終わるやつね。
私は首を縦に振り、ただただ結花に同意した。
女の子は、話を聞いてほしいだけなのだ。だから、それでいい。
グループには、こういう役回りは必要なのだ。
質問や批判は、麻希や菜緒に任せておけばいい。
そうすれば、問題なくグループに所属していられる。
学校の私はこんなものでいい。自分なんてなくていい。
そう余裕の表情でいると、突然、流れ弾が飛んできた。
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