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一生がそんなことを言うと
「いやいや。それよりも宗像の三女神を呼ばないと。あちらのお姉さま方も会いたいと言っていましたよ。美女が三人もとなれば、侑平君も喜んでくれるでしょう」
薬師如来がそう答える。えっ。何事?
「――」
じどっと二人を睨むと、だってねえと二人は顔を見合わせて笑う。
「お前、礼門の一番弟子だぜ。みんな、実物を見たいってうずうずしてるんだ」
「そうですよ。神様たちにまで人気とは、さすがです。海に出掛ければ、彼ら彼女らが黙っていません」
「――」
侑平は、その言葉に静かに畳に沈んでいた。ああ、俺には青春もないのか。
「いいじゃん。題して、侑平と愉快な仲間たち。妖怪と海で遊ぼう!夏の新たな風物詩だ!!」
しかし一生はみんなに声を掛けておくよと勝手に話を進める。
「いいですね。じゃあ、お弁当を作らないと」
さらに薬師如来までノリノリだ。ああ、これはもう確実に妖怪と海に行くことになる。
「勝手にしてくれ」
いじけてしまった侑平は、そう言うしかなかった。
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