主婦の楽しみ

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主婦の楽しみ

「やば!間に合わない!」 相田光恵、今年で39歳。 41歳の夫と中学2年生、小学6年生の兄妹を抱え、平日の昼間はフルパートで働き土日は息子の野球のクラブチームの手伝い、地域の役員、子供会会長など忙しく働く光恵にとって、唯一の趣味と言えるのが、毎週木曜、夜7時半から娘の通う小学校の体育館で行われる、ママさんソフトバレーボールである。 今日はその木曜日。 運転中の車内時計はすでに6時半を表示している。 帰ったらまず夕飯を作って、それを子供達に食べさせて…洗濯物は…後でもいいか? 帰宅してからの段取りを考え、もう何度目かわからない赤信号にため息をついた。 ソフトバレーボールとは、本来6人制の硬い皮のボールを使って行われるバレーボールとは違い、 柔らかい少し大きめのボールで4人制で行われる簡易的なバレーボールのことだ。 基本のルールさえわかっていれば初心者でも出来るため、光恵達の住む地域では時折地区大会が開催されるなど推奨されている。 光恵は小学生の頃から6人制のバレーボールを習い始め、中学では部長を務めた女子バレーボール部が小さいながらも新聞に載ったこともある。     
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