第2章 ティガー

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 サイレンが鳴り響く。 「オールステーション、オールステーション、D2スクランブル!!状況、バトルステーション」  待機室の窓越しにハンガー内の様子を見る。カマボコ型の空間に、灰色の軽戦闘機、F-16Cに向かってパイロット、整備員が駆ける。コックピット左脇に据え付けられたラダーをパイロットが駆け上がり、続いた整備員が装具のベルトを締めていく。ある整備員は、主翼端の空対空ミサイル、AIM-9Xの安全ピンを引き抜いていく。   パイロットが指を回し合図する。  クィイイイイイイイイー!  獰猛な猛禽が目覚めていく。パイロットが人差し指を立てた。中指、少し置いて薬指・・・。数秒おき、右手を下ろした。  キィイイイイイイイイイン!!!!  猛禽の咆哮が高鳴る。 『グールフライトチェックイン,リクエストタキシーアンドスクランブル』  待機室スピーカーから、アラート編隊、グール隊と管制のやり取りが流れた。  いくつかの交信を経て、ランウェイエンドまで2機のF-16がタキシングする。 ≪グール01,ヴェルグタワー.ウィンドイズカームエンジェル20バイゲイト,ベクター035.クリアードフォーテイクオフ≫ 『グール01,ラジャー』 『ツー』  音が高鳴ると同時に先頭のF-16が走り始めたと同時に、エンジンノズルが紅く光った。  ドンッバリバリバリバリバリバリ ッ!!!!  僅かに遅れ、2番機も高速で駆け上がる。相当な上昇速度と迎え角だ。2機のF-16右に大きく旋回した後、北西の空へと融けて行った。
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