第2章 ティガー

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「とりあえずACMをいろいろやり込んで、対領侵の練習かな。」  ノートを鞄にしまい、ウォッカを入れたグラスにコーラを注ぐ。最も、明日は朝イチからフライトだが・・・・・・・・・。  1週間後ー・・・ 「えー、申し送りは以上です。一度STBY掛かりましたが、2分で解除されて何も有りませんでした。ちなみに引っ掛かったヤツは、フライトプラン未提出のエティアド航空、グランベルヒ発、関空行きのボーイング787だったそうです。・・・・・・・・・眠い・・・・・・・・・」  眠そうにしてるソーンから申し送りを受け、アラート勤務交代する。 「本日は宜しくお願いします。クルィーク。」 「宜しくイルビス。デビューだな。あまりガチガチになるなよ?訓練通りな」 「はい。」  見た目はいつも通りだ。全然緊張してるように見えない。本心は知らんが。 「お疲れ様でしたー・・・イッツァア!?」   フラつきながら盛大に壁に頭を打ったソーンを見送り、リラックスチェアに座る。真横のイルビスは本を読み耽っていた。ブックカバー付きで何の本かは分からないが、そこそこの薄さの小説だ。  さて・・・・・・。  鞄にからプレステを取り出し、ディスプレイに繋いだ。8時間待機だ。夜は長い。さぁ、何も起こってくれるな?  平和が一番。これに尽きる。夜は更けていった。 「何だこれは?」 「解りません。さっきから点いたり消えたりを繰り返しています」  ノルトヴェルク北西部、ベンヘルム岬に位置する空軍第27警戒隊レーダーサイトが不審なエコーを捉えていた。 「現時点ではまだ識別圏外を飛行しています。」 「周辺民航機に被害は?」 「呼び出しましたが、異常無しです。」 「エコー、再び消えました・・・また点いた!?」  ステルス機の可能性も無いわけではない。だが、当サイトのレーダーは旧式。ステルスを探知する事は不可能と言って良い。  ・・・限定的ステルスか・・・ディスプレイを監視していた警戒管制官はそう思った事だろう。 「隊長、周辺飛行中のジルスター航空3438便から報告。当該不明機、機種判明。ラファールで間違い無しとのこと。恐らく・・・」 「アルフィリオ海軍か・・・よく解ったな」 「月と重なったのが偶然見えたとのことです。アルフィリオ領方面に飛行中」 「空母は首都港内停泊中だ。陸地から上がってる。」
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