第2章 ティガー

21/30
前へ
/319ページ
次へ
 アレに比べりゃ、旧式だからな・・・・・・。  ディスプレイに目を落とす。こちらの編隊はレーダーを一切使用していない代わりに、データリンクから得た情報をフルに活用し、相手の方位、速度、高度を把握している。だが、機種は判別出来ていない。 「・・・・・・やべぇな」  仮に相手が中距離ミサイルを装備しているなら、既に射程内だ。防御処置手順を考えて居る時・・・ 『クルィーク、アンノウン、OLSコンタクト』 「ラジャー。早いな」  イルビスのフランカーが、アンノウンの熱源を捉えた。性能に驚く。    迫る距離、まもなく旋回して、アンノウンの真横に並びたい。 「レフトターン・・・ナウ」  緩やかに左旋回に入る。アンノウン機の衝突防止灯の類いは見えない。最も、こちらも切っている。  ーヤツは何処に・・・・・・居た!  微かに星明りが途絶えたのを目視した。アンノウンより若干低空に居る。ディスプレイの表示をチラ見する。間違いない。  機種は何だ?まだ輪郭が良く見えー 『クルィーク、イーグルです』  「ーえ?」  突如イルビスが正体を告げた。 『F-15です。胴体下にAIM-120』 「り、了解。」  ・・・F-15?ー良く見えたな。だが・・・ 「近隣諸国にF-15って、有ったっけ・・・?」  無い。間違いない。1番近くでイギリス、レイクンヒース基地の在欧米軍のF-15だ。  アンノウン真横に着いた。輪郭が浮かび上がる。ーF-15だ。紛れもないF-15。祖国の防空の華でも有った翼。だが、国籍標識の類いは無いように見える。 「ーCCP(防空司令所)、グール01。アンノウン、1イーグル、ナショナリティアンノウン。これより警告に入る」  国際緊急周波数に合わせ、警告に入ろうとした。その時ー。 『その訛りー日本人か』 「!?」  
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加