第2章 ティガー

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「・・・・・・・・・なぁ、今のジントニックだよな。酒に不馴れなヤツがイッキで、何であんな平然としてんの・・・?」  ソーンが耳打ちしてくる。  ・・・・・・・・・・・・。 「マスター!ウォッカオナシャス!!」  ソーンの表情が引きつった。 「まさか・・・・・・・・・」  うん。盛れるだけ盛ってみたかった。興味本意でした。その時までは。 「あの、大丈夫ですか・・・?」  返事はない。ただの屍のようだ。  変な興味が湧いた俺は、イルビスに飲ませるだけ飲ませてみた。まず、ソーンが轟沈した。俺も飲めるだけ飲んだ。最後の最後で頼んだスピリット。これで俺も死んだ。で、眼前のイルビスはというと・・・・・・。 「無理するなって、言われましたが、お二人もですよ?」  ケロッとした表情でグラスにスピリットを注いでいく。なんでピンピンしてやがるんだ・・・鉄の胃袋め・・・・・・。周囲のギャラリーの歓声が耳障りだ。  あぁ、うるせぇ・・・・・・。  歓声も鳴りを潜め、落ち着いた雰囲気を取り戻す。ソーンもなんとか復活した。 「明日の朝は地獄だな・・・・・・・・・」    青い顔でミルクティーを飲むソーン。 「ーそういえばなんだけど・・・」  2人が俺を見る。表情が死にきったソーンと、ケロッとしたイルビスの差に、少々驚きながら気になってたことを訊ねた。 「イルビスは何でファイターパイロットを志望したんだ?」  キョトン顔で俺の眼を見てくる。なんでそんな事を訊くのかと言いたげに。 「何で・・・ですか。」 「空が好きだーだとか、飛行機が好きだーとかな俺ら2人はそんなんだよ。な?」  死にきった表情でソーンが首肯する。 「・・・・・・お2人が、戦闘機乗りを目指されたきっかけって、何ですか?」 「へ?」  逆に訊き返されてしまった。
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